『ローマ帝国の崩壊: 文明が終わるということ』読了
古代末から中世初期の生活水準の劇的な低下は、私にとって長年の謎であった。それが、移動の安全の喪失による経済の断片化が原因だと、考古学的証拠に基づいて明解に述べられている。ローマ時代にはそれぞれの地域が比較優位による生産を分担することで、全体的な高生産性が実現していたのが、地域毎に「地産地消」を強いられることで、生産性が激減したわけだ。しかも、地産地消のノウハウが一旦失われてからの突然の崩壊は、生活水準をローマ以前どころか石器時代まで低下させたという。これは、現代でも移動の安全が失われるとどうなるか考えれば、極めて納得できる。よしんば、農村であっても、農機具や生活用品すべてを自分で作るとなると、どれだけの生産性が維持できるか、そもそも、生きていけるのか難しい。その困難に中世初期の人々は直面したのだ。
高付加価値製品の安価な流通が支える現代文明の恩恵を最大限に受けている我々は、古代社会の崩壊に学んで、平和の維持こそが重要だと肝に銘じなければならない。
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突然オーディオマニア
ここ5年あまり BS と HDD レコーダでテレビっ子してました。そろそろ飽きて来たので、音楽を聞きながら本を読む時間を作ろうと、ステレオの整備をしてみました。スピーカーは古いとは言え、JBL のスタジオモニタ 4206 があります。アンプは、チューナー CD 一体型ですが、デンオンのがあります。それで、まず、Bluetooth のオーディオ変換器
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を購入。iPad を音源にして鳴らしてみたら、どうも良くありません。それで、変な配置になっているスピーカーを床に下ろしました。かなりいい感じ。数日鳴らしたら、良くなって来たような気がします。床に直置きもなんなので、ちょっとした台
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を買って載せると、それらしくなってきました。変な共振があるのがちょっと気になりますが、さすがに低い方までそこそこ出てます。
実は、他の用途で使うつもりで買った、harman/kardon の Bluetooth スピーカー
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も横にあって、聞き比べてみました(それがあるなら、JBL 鳴らす必要ないじゃん、といいうツッコミはナシね。趣味なんだから)。最近のスピーカーって、小さいのによくがんばってますね。JBL と比べて、さすがに低音が苦しくて、音にふくらみがないのですが、それでも、いい勝負。値段(あの JBL いくらだったっけ?2本で10万円以上はしたと思う)を考えるとべらぼうかも。サウンドスティックみたいなスーパーウーファー付だと(あのスーパーウーファーかっこいいですよね。欲しい)もう差はないかもね。
と、言うわけで、内田光子のモーツァルトを JBL で流しながら、これ書いてます。優雅な気分。音楽ていいですね。今さらながら。
鑑定士と顔のない依頼人見てきました。
今日、電気館で「鑑定士と顔のない依頼人」見てきました。映画はめっちゃ久しぶり。スターウォーズと宮崎アニメを除けば、「マルコビッチの穴」以来じゃないかな。
この映画ジュゼッペ・トルナトーレ監督。そう、「ニューシネマパラダイス」の監督。音楽はエンニオ・モリコーネ。このコンビと、ちょっとハマっている美術関連と言うことで興味を持ちました。
いやあ、面白かったです。謹厳実直な鑑定士が老いらくの恋に焦がれて、人格が崩壊していく描写が秀逸。色恋に免疫がないとこうなるのね。心の病の彼女と治癒と、オートマタの修理の描写の並行とか、サバンの女性のプロットとか、絵画の女性と生身の女性の対比とか、よく出来た映画でした。最後のどんでんがえしはやり過ぎかなと思ったのだけど・・・と書くとネタバレなのでやめときます。
めっちゃお薦め。皆さんぜひ見て下さい。ホームページはこちら http://kanteishi.gaga.ne.jp
中世シリーズ
塩野七生著『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』上下を読んだのを機会に、『十字軍の物語3』、井上浩一著『生き残った帝国ビザンティン』なんてのが読みかけになっていたのを片付けました。ついでに、佐藤賢一著『カペー朝 フランス王朝史1』なんてのも買って読んだりして。だんだんと、ヨーロッパ中世が分かって来るに連れて、この辺のお話が面白いと感じられるようになってきました。中世史がマイブームです。
次は、伊藤俊太郎著『近代科学の源流』『十二世紀ルネサンス』を読む予定。おっと、Delicious Library の記録を見ると、『フランス中世史夜話』『図説 中世の光と影 上下』とか、『神を哲学した中世』『15のテーマで学ぶ中世ヨーロッパ史』なんてのも、積ん読になったまま。今ならもう少し読めるかも。
でも、紙の本は、家でしか読めないからなかなか進まん。
青空文庫は偉大だ!
先日アマゾンで Isabella Lucy Bird の“Korea and her neighbors”(邦題『朝鮮紀行〜英国婦人の見た李朝末期』)を買いました。翻訳を買うと1733円もするのを Kindle版なら99円だもんね。
ところがどっこい、これがトンデモでした。明らかにスキャンしてOCRをかけただけのもの。まあ、読めなくはないけど、あんまりなんで Amazon Kindle の不具合レポートに書きました。まあ、ムッとしたやりとりもありましたが、事態は認識されて、改善を約束してもらいました。
今回の本は著作権が切れた本のデジタル化プロジェクトが絡んでいるみたいでした。日本では青空文庫がやってるあれです。青空文庫ではこんな事態はありえんですよね。こんな質のいい電子書籍が無料で読めるなんて偉大。それを作った富田倫生さんはもっと偉大。ご冥福をお祈り致します。
スラバヤ雑感
「あなたの中の異常心理」読了
本書を読むと、犯罪に至る心理が、いかに普通の人々に潜んでいるかよく分かる。犯罪の厳罰化なんて抑止力になんかならないのだ。最近の風潮は「復讐」を手助けする罰則になっているのよね。
あと、異常心理の例として並んでいる歴史上の偉人の話しが面白かった。フロイト、ユングあたりは、知らなかったわけではないけど、バートランドラッセルが猟色家であったなんてのはビックリ。ガンジーも俎上に上がっていたりして、偉人になるにはちょっと異常なところがないと無理だよなぁ、とか感じてました。
自分の心、他人の心を理解する上で大変参考になります。お薦め
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