しぶちんはしぶちん

mixi で日記を書いていたのですが、廃れてきて書いていてもせんないので、ブログにすることにしました。綴り方の練習くらいのつもりかな。

『ローマ帝国の崩壊: 文明が終わるということ』読了

古代末から中世初期の生活水準の劇的な低下は、私にとって長年の謎であった。それが、移動の安全の喪失による経済の断片化が原因だと、考古学的証拠に基づいて明解に述べられている。ローマ時代にはそれぞれの地域が比較優位による生産を分担することで、全体的な高生産性が実現していたのが、地域毎に「地産地消」を強いられることで、生産性が激減したわけだ。しかも、地産地消のノウハウが一旦失われてからの突然の崩壊は、生活水準をローマ以前どころか石器時代まで低下させたという。これは、現代でも移動の安全が失われるとどうなるか考えれば、極めて納得できる。よしんば、農村であっても、農機具や生活用品すべてを自分で作るとなると、どれだけの生産性が維持できるか、そもそも、生きていけるのか難しい。その困難に中世初期の人々は直面したのだ。

高付加価値製品の安価な流通が支える現代文明の恩恵を最大限に受けている我々は、古代社会の崩壊に学んで、平和の維持こそが重要だと肝に銘じなければならない。

 

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