しぶちんはしぶちん

mixi で日記を書いていたのですが、廃れてきて書いていてもせんないので、ブログにすることにしました。綴り方の練習くらいのつもりかな。

『動的平衡2 生命は自由になれるのか』読了

またまた福岡伸一のエッセイ。文章うまいしちゃかちゃかと楽しく読めました。体系的な本ではないので感想もつまみ食いかな。
一番面白かったのは、遺伝情報はDNAだけが運んでいるのではなく、卵子というDNAにとっての環境が遺伝子の発現をコントロールすることでも伝えられると言う考えだった。というか、以前から私が考えていたことを生物学者も考えていると分かって嬉しかった。情報は第一義的な記憶媒体(DNA)のみが担っているのではなく、解釈系(卵子)も担っているのではないかと思ってます。この話を同僚の生物学者にしたら、解釈系の情報もDNAに入っているのだから、やっぱりDNAが全情報を持っているのだよ、と言われました。この話、自己言及的様相を帯びているので、私も突き詰めて考えたわけではないですけどね。
動的平衡ともう一つのトレードマーク的フレーズ「自然は分けても分からない」も出てきます。でも、しっかりしていて、かならず、「自然は分けないと分からない」とセットで出してます。今の Politically correct 的な見解を述べても、その発言の科学的な限界もどっかで書いているわけ。この辺が福岡伸一を好きな理由。
社会現象などを生物学から眺めた例なんかもなかなか面白い。人間関係も進化論的な視点を持つとあきらめられるかもね。ちょっと飽きて来た感はあるけど、しゃかしゃかと楽しく読めて、話のネタになるエピソードを仕込めるのはやっぱりいいです。