しぶちんはしぶちん

mixi で日記を書いていたのですが、廃れてきて書いていてもせんないので、ブログにすることにしました。綴り方の練習くらいのつもりかな。

『日本人へ 危機からの脱出篇』読了

塩野七生のエッセイは久しぶり。実は、『十字軍の物語3』も買っただけで読めてないのですが、エッセイはさらさらと読めて楽です。

時々の話題についての著者の見方を書いた文芸春秋の連載をまとめた本で、相変わらず鋭いし、倫理観の視野が長いし、論理は明快だし、楽しみました。

その中で一番気になったのが、楽天とユニクロの「英語公用語」政策についての2回。50年間イタリアで暮らしている彼女ですら、創造的になれるのは日本語で考えるとき、と書いて、「英語公用語」を嘲笑しています。実はね、私も乏しい経験からですが、頭が英語になっている時には難しいことを考えられないという経験をしたことがあるのですよ。塩野さんでさえそうであれば、文科省の英語教育政策なんて実りが乏しいことは火を見るより明らか。これから、英語が必要になることに異論はないのですが、一部の識者の英語で教育というのを礼賛する雰囲気はやっぱりまずいのではないのだろうかと思いました。

他にも日本の政治とイタリアの政治双方の話しが出て来るのは相対化できていいとか、いろいろ教えられます。特にこの本がというものではないですが、塩野さんのこの手のエッセイは『イタリアからの手紙』以来変わらぬ魅力があります。

たいへんお薦め。