しぶちんはしぶちん

mixi で日記を書いていたのですが、廃れてきて書いていてもせんないので、ブログにすることにしました。綴り方の練習くらいのつもりかな。

『マヨラナ―消えた天才物理学者を追う』読了

 なぜこの本を買ったのか覚えてないのですが、腰巻きに「物理屋でこの男の名を知らぬ者はいない」なんて、竹内薫が書いていたので、「あ、俺知らん」と買ってしまった模様。竹内薫の言うことに間違いが多いのに気がつく前だったのか。

 西洋のノンフィクションの例に漏れず冗長でかなり辟易しましたが、マヨラナという人の伝記と人となりはかなり引かれました。ものすごく頭の回転の速い人、自尊心が強く、人付き合いの悪い人。西洋の科学者と付き合っていると、そんな人に時々会うのですが、その極致。周りが理解するより先に行き過ぎてしまったので、周りから理解されない。その孤独感を感じさせてくれます。

 実は、共感を持つエピソードがあったので、冗長な割には良い読後感を持つことができました。それは、彼が自分のアイデアを誰かが先に発表したら喜んでたという逸話。私も、専門分野からちょっとだけ外れたところでアイデアを思いつくことがあります。論文として実現しようとするとレビューとかエライ大変なのでほったらかしにしているのですが、たまに、誰かが発表しているのを見かけることがあって、嬉しくなります。「俺は間違ってなかったんや」と確認できるからね。今の論文レビューの形式主義にウンザリしている描写も「うんうん」だし。天才と比較するのは恐れ多いのではありますが・・・・

 普通の人にも、物理屋にさえあまりお薦めできる本ではありますが、私は読んで良かったかな。

 

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